3年生そろばん指導計画案


小学3年生のそろばん学習の指導は、教科書の指導計画では3学期に予定してあります。
現在の指導計画では、指導時数も少なく、子どもたちはそろばんに触れたというくらいしか印象に残りません。
先人が残した古来の計算機がこれではもったいなく思います。
そこで、そろばんの指導計画を次のように考えてみました。


 ・3学期取り扱いの本単元を、1学期もしくは2学期に取り扱い、朝自習等で習熟を図り、計算機の一つとして授業で活用できるようにする。
 ・1単位時間を1週間おきにとり、その間、朝自習や家庭学習で習熟を図るよう指導計画を工夫する。

 ・教科書の指導書では2時間扱いであるが、3時間扱いとする。

そろばん学習独特の言葉


 「入れる」   「置く」   (同じ意味)    教科書では「入れる」を使っている。
 「とる」     「はらう」  (同じ意味)    教科書では「とる」を使っている。
 あげるまたはあがる   上位の位に「1」入れること。
 「ごはさん」  数を入れる状態にすること。
 「ごはさん願いましては」   読み上げ算の最初の言葉。
 「○円なり」   お金の額にして読み上げるのが一般的。
          読み上げ算では、「2円」を「ふたえん」と読み、「7円」を「ななえん」と読む。(聞き違えないような配慮から)
 「ごめいさん」  「正解です」または「おなじ答です」の意味。



第1次

指導目標
 ○そろばん各部位の名称をおぼえ、玉を入れる(おく)ときは、一玉は親指、五玉は人差し指で入れ、玉をとる(はらう)ときは、一玉も五玉も人差し指を使うことを知り、指使いになれる。
 ○数字を読んだり表したりすることができるようになる。
 ○簡単な加法・減法の仕方が分かり、そろばんで計算できるようになる。

指導の流れ
(1)そろばん学習への興味・関心喚起
  簡単に歴史等も紹介
(2)そばんの構造 名称等の学習
  各部位の名称
    わく  はり  けた  定位点(3けたおき)
  1玉の意味    1個で「1」を表す
  5玉の意味    1個で「5」を表す
  定位点の意味  「1の位」を表す  10進数と対比して指導
               中央の定位点を「1の位」とするのが一般的
(3)数の読み方の指導
  中央の定点を「一の位」とすると、左となりのけたが「十の位」、その左となりが「百の位」となることを10進数と対比して指導 
     指導者が、「3」 「7」 「14」 「68」 「306」 「5123」などをそろばん上に置き、児童に読ませる。  
     ※空位の表し方に注意
(4)数の入れ方(おき方)指導
  @そろばんに数を入れる前に、左のけたから5玉を人差し指できれいにはらう。数回繰り返し練習
  A「1玉」を入れる(おく)ときは、親指を使う。
    「1」を入れる。
    「1」をとり(はらい)、ごはさん(玉を入れる状態に戻す)してから「2」を入れる。
    同じ要領で「3」を入れる。 「4」を入れる。
    左端のけたから、1、2、3、4と読みながら玉を入れていく 数回繰り返し練習
  B「5玉」を入れる(置く)ときは、人差し指を使う
    「5」を入れる。
    「5」をとり(はらい)、ごはさんしてから「6」を入れる。
    同じ要領で「7」を入れる。 「8」を入れる。 「9」を入れる。
    左端のけたから、1、2、3、4、5、6、7、8、9と読みながら1玉と5玉を入れていく。
      数回繰り返し練習
  C玉をとるときは、すべて人差し指を使う。
    左端から、1、2、3、4、5、6、7、8、9と読みながら玉をとっていく。
(5)簡単なたし算の計算方法指導
 ○1玉だけ使うたし算  
  1+1  1+2  1+3  2+1  2+2  3+1
 ○5玉と1玉を使うたし算
  5+1  5+2  5+3  5+4
  6+1  6+2  6+3
  7+1  7+2 
  8+1
(6)簡単なひき算の計算方法指導
 ○1玉だけ使うひき算
  4−1  4−2  4−3  3−1  3−2  2−1  1−1  2−2  3−3  4−4
 ○5玉と1玉を使うひき算
  9−1  9−2  9−3  9−4  9−5  9−6  9−7  9−8
  8−1  8−2  8−3  8−5  8−6  8−7
  7−1  7−2  7−5  7−6 
  6−1  6−5
  9−9  8−8  7−7  6−6  5−5


2次
指導目標
 ○そろばんでたし算ができるようになる。
(1)たし算の指導
  @「5玉」(5の合成分解の考え方)を使うたし算・・・・・・・・・・・そろばん 第1の難関
   「1+4」の計算方法を考える。
    ※1玉で「4」たすことができないから、「5」をたすと「1」たし過ぎ。たし過ぎた「1」をとる。
      たし過ぎた数をとることを押さえる。(註:そろばんの基本 たしざん方法2参照)
    2+4  3+4  4+4  2+3  3+3  3+4  4+1  4+2  4+3  4+4 
  A答えが「10以上」(10の合成分解の考え方)になる足し算・・・・ そろばん 第2の難関
   「9+1」の計算方法を考える。
    ※一の位に「1」をたすことはできない。が、「1」はあと「9」で「10」になる。
     そこで、一の位の「1」をとって、十の位に1「1」入れる。
     このことを「+1は9とって10あがる」という。
     あといくつで「10」になるかを考え、「10」になる数をとることを押さえる。(10の合成分解の考え方)
                           (註:そろばんの基本 たしざん方法3参照)
     9+2  9+3  9+4  9+5  9+6  9+7  9+8  9+9
     8+2  8+3  8+4  8+5  8+7  8+8  8+9
     7+3  7+4  7+5  7+8  7+9
     6+4  6+5
     5+5
  B「5玉」がおりていて、「10以上」になるたし算・・・・・・・・・・・・・・そろばん 第3の難関
   「5+6」の計算方法を考える。
    ※「6」は「4」とって「10」あがる。しかし、「1玉」から「4」はとれないから「5玉」から「4」とる。すると、「1」残る。残った「1」を入れる。
     このことを、「+6は1入れて5とって10あがる」という。
     「10」になる数をとって残った数を入れておくことを押さえる。      (註:そろばんの基本 たしざん方法4参照)
     6+6  7+6  8+6  5+7  6+7  7+7  5+8  6+8 7 +6 
  C2桁の足し算方法を指導する。
    「64+23」の計算方法を指導する。
     そろばんでは、上位の位からたし算することを押さえる。
     15+23  37+46  など

第3次 
指導目標
 ○そろばんで簡単な引き算が、できるようになる。
(1)簡単の引き算指導
  @1玉だけの引き算
   「2−1」のひき算方法を考える。
   3−1  3−2  4−1  4−2  4−3  2−2  3−3  4−4
  A5玉を使う引き算
   「5−2」のひき算方法を考える。
   ※「5」から「2」引くと「3」残る。だから、「3」入れて「5」とる。
    「5+8」のたし算方法を利用する。
    「5」から引いた残りを入れておくことを押さえる。
   5−1  5−3  5−4
  B5玉と1玉を使う引き算
   「6−4」のひき算方法を考える。
   ※「5」から「4」ひくと、「1」残る。残った「1」を入れておくことを押さえる。
   6−2  6−3  7−3  7−4  8−4 
  C「一の位」から引けないひき算
   「14−7」のひき算方法を考える。・・・・・・・・・・・・・・そろばん 第4の難関
   ※「一の位」から「7」引けないので、「十の位」から「10」借りる。「10」から「7」引くと「3」残る。残った「3」を「一の位」に入れる。
    「4+3」の足し算方法を利用する。
    「10」から引いて残った数を入れておくことを押さえる。
   15−8  14−8  14−6  13−8  13−7  13−6  12−7  12−6  11−6    
  D2桁の引き算方法を考える。
   「64−23」の計算方法を考える。
    ひき算もたし算同様上位の位から計算することを押さえる。
   39−16 42−28  73−48 など
  E3けたのひき算をする
    「316−218」を考える・・・・・・・・・・・・・・・・・・そろばん 第5の大きな難関    
    ※引く数と同じ位から引けないときは、一つ上の位から「10」借りる。その位に借りる数がないときはさらに上の位から「10」借りる。
     ここでは、「百の位」から「100」借りて、「10の位」に「100」あるとみる。
     その「100」から「10」借りる。「十の位」は「90」のこるので「9」入れる。
     「10」から「8」引くと、「2」残る。残った「2」を「一の位」に入れる。
     上位のけたから借りる数がないときは、さらに上位の位から借りることを押さえる。
(2)簡単な小数や大きな数の計算をする。
    位取りとけたの関係を押さえる。
    計算方法は、2けた、3けたの加減方法と同じ。
    1.2+0.4  2.6−0.3
    4万+3万   6万−2万 など


              そろばんのきほん 

○そろばん学習で使う言葉
 わく   はり   けた   定位点(ていいてん)
 入れる(おく)   とる(はらう)   あげる(あがる)
 ごはさん  ごはさんねがいましては    ごめいさん

○位取り
 そろばんのまん中の定位点を「1の位」とする。
 そのすぐ左のけたを「10の位」、その左のけたを「100の位」とする。

○そろばんでの数の表し方と読み方
 1玉・・・・・・1こで「1」をあらわす
         2こで「2」をあらわす
         3こで「3」
         4こで「4」 
 5玉・・・・・・・・・・・「5」をあらわす
      5玉と1玉1こで「6」をあらわす
      5玉と1玉2こ  「7」
      5玉と1玉3こ  「8」 
      5玉と1玉4こ  「9」

○たしざん方法1 (1玉と5玉を入れるとできる計算)
 1+1=    2+2=     1+3=
 5+1=    5+2=     5+3=     5+4=

○ひきざん
 2−1=     3−1=    4−1=
 3−2=      4−2=    4−3=
 9−1=     8−1=    7−1=     6−1=
 9−2=      8−2=    7−2=    
 9−3=      8−3=     
 9−4=
 9−5=      8−5=    7−5=     6−5=

○たしざん方法2 (5玉を使う計算)
 4+1  1は5入れて4とる
 4+2  2は5入れて3とる  (3+2)
 4+3  3は5入れて2とる  (3+3 2+3)
 4+4  4は5入れて1とる  (3+4 2+4 1+4)

○たしざん方法3 (10以上になるたしざん くり上がりのある計算)
 9+1 1は9とって10上がる
 9+2 2は8とって10上がる (8+2)
 9+3 3は7とって10上がる (8+3 7+3)
 9+4 4は6とって10上がる (8+4 7+4 6+4) 
 9+5 5は5とって10上がる (8+5 7+5 6+5 5+5)
 9+6 6は4とって10上がる
 9+7 7は3とって10上がる (8+7)
 9+8 8は2とって10上がる (8+8 7+8)
 9+9 9は1とって10上がる (8+9 7+9 6+9)

○たしざん方法4 (5玉がおりていて、くり上がりのある計算)
 5+6 6は1入れて5とって10上がる (6+6 7+6 8+6)
 5+7 7は2入れて5とって10上がる (6+7 7+7)
 5+8 8は3入れて5とって10上がる (6+8)
 5+9 9は4入れて5とって10上がる